「100%帰化できます」と言う専門家は絶対信用してはいけない3つの理由。
「100%帰化できます!」
と言われて今から帰化しようと思っている皆さんは安心するかもしれません。
ですが、待ってください!!
100%って本当にあるんでしょうか?
答えは、
「ノー です」
その専門家は信頼するのに値しません。
宣伝文句として利用しているかもしれないが、自分の業務の進め方の欠点を露見しているに他ならない。自分の専門家としての資質の低さを宣伝しているようなものです。
なぜなら
理由1
帰化申請は、帰化後の日本の戸籍を作成するのに必要な身分関係を証明する書類などで、父母などが認定されなければそのままでは許可がでないことがありうる。
からです。
ということは、面談や、メールやお電話などで数分要件的な質問を聞いただけで、
「100%帰化できるので安心してください。」
なんていう人は、上記のようなイレギュラーなケースを経験したことがない程度の簡単な帰化申請の経験がないか、自分の行動や言動に責任を持たない人かのどちらかということになります。
帰化の身分書類は、収集していく段階で初めて、書類ごとに父母や兄弟関係が食い違っており、それがどちらが正当かということを決定づける書類や、証言なども得ることができず、韓国籍の場合などですと、本国書類を裁判書類を訂正したうえでないと帰化の許可ができない、あるいは、受付さえできないケースが存在します。
確率は本当に低いものの、あり得るのです。
当事務所では1000人以上の方の帰化にかかわってきた経験で、上記のような悪条件がいくつも重なり、受付もしてもらえなかったケースが500件中の1件ぐらいで存在しました。
また、結果的には帰化の許可に至ったが、身分関係の証明ができないことが書類を集めて判明するケースは意外と多く、大体100件に1~2件程度は、父母、兄弟関係が韓国書類と日本の書類で合わない危ういケースが存在します。
たとえ、可能性が低くても、こういったケースがあるということはすべての帰化のご依頼者に説明すべきであるとわたしは考えますので、わたしは、きちんと説明をし、ご納得いただいた上で正式に進めていきます。
それが、法律専門家としては当然の進め方です。
理由2
何でも簡単に100%と言えてしまうということは、自分の発言に責任を持たないことの表れであるから。
何事でも、100%ということは存在しないのが世の常です。
100%というためにはその具体的な根拠となる信頼できる情報などをご依頼者に提示できてはじめて発言できることであると法律専門家であれば通常考えます。
それを簡単に、「100%」と口から発してしまうことができる人物は、法律家としてという以前に、ひとりの人間として信用ならん、この人は必要な数パーセントの重要性を理解できていない程度の人だ
と思わざるを得ません。
帰化の手続きは単なる書類集め、作成ではありません。
帰化される方のみならず、その同居のご家族の職業や収入、別居のご家族の方に関する情報に至るまで、本当に帰化申請人の方にかかわるすべての情報といえるぐらいの個人情報のかたまりを扱う非常に神経を使わないといけない、手続きなのです。
何でも簡単に「100%」や「絶対に」を言える人にはご自身の大切な個人情報を渡してはいけません。
理由3
残り数%にこそ専門家に依頼する意味があるから
なのです。
理由2のところでも言及しましたが、帰化できない可能性こそ、依頼者が知りたいところなのです。
要件をみたしていても、それに必要な書類が完備できるかというところまで分からないと、100%にはなりません。
たとえば、ご自身(帰化の申請者)は無職、日本人の夫は義父(夫の父)経営の株式会社の取締役などの場合を考えます。
この場合は、全く同居していなくても、生計が別でも、代表者である夫の父の協力が必要になります。
なぜなら、法人に関する納税証明書の取得が必要であったり、赤字かどうか、従業員の源泉所得税の納付の有無や、社会保険加入、税務調査上の追徴課税の有無その内容、決算書一式など法人や個人についての個人情報や法人の情報を含むほぼすべてと言っていいような書類や情報のご協力が必要になってくるのです。
その協力がもらえるか、協力がもらえるとしても、法人としての義務を果たしているのか(社会保険加入、源泉徴収納付義務など)、果てしていないときは、ご本人の帰化のために義務を果たしてもらえるのか、はたまた要件を満たしていても、必要な法人関係の書類を準備できるのかなど、少し話を聞くぐらいでは判断ができないような深い情報の確認が必要になるケースも少なくないのです。
帰化申請という手続きは、本当にたくさんの情報をご依頼者からいただき、書類を収集したり、情報と書類に齟齬が生じないように、本当に丁寧に進める必要があります。
こうなったら、ああなる可能性がこれぐらいあるから、これを今の段階でああして、こうして・・・
が瞬時に判断できないとうまく進めることができません。
少し話を聞いただけで100%帰化できますとは、決して言えない手続きなのです。
わたしも、「ほぼ100%大丈夫でしょう」
とは伝えることはあります。そのあと、ほぼでない部分の説明に入ります。
ほぼが入っているかどうかで、物事は全く違う。ご依頼者の知りたい情報を、ご依頼者が何を知りたいかを心で聞きつつ、伝えていきます。
「100%です」は、無責任な人だけが使える言葉だとわたしは考えています。
みなさまが、本当に信頼できる専門家に出会うことができることを心より願っております。