月別アーカイブ: 2021年7月

帰化申請は、実は司法書士業務。地方の法務局では、行政書士でしかできないという勘違い職員まで存在する。

よくある勘違い。

帰化申請は行政書士しかできないと思っている人。

 

一般の方が勘違いされるのは仕方のないことで、全く問題ありません。

ただし、代理請求先の役所であったり、こともあろうか、帰化担当の法務局職員までもが勘違いしているというのは、あまりにも勉強不足ではないかと思います。

 

弊所では、全国からの帰化申請のご依頼を受けているので、本当に全国各地のあらゆる管轄の法務局に提出する帰化書類を作成します。

基本的な要件や揃える書類は同じですが、微妙に違う部分もそれなりに多くあり、その都度管轄の法務局に電話をかけ事前に情報を得て進めるようにしています。

 

先日、驚くような地方の法務局がありました。

書類がそろったので、書類点検の予約を取ろうとしたら、

 

「司法書士は、帰化手続きはできないから、本人から電話してください。」

と言われたのです。

 

話が通じそうになかったのと、他の業務で多忙だったため、

「行政書士も登録しているので、問題ないですよね」

とそれ以上のやり取りは避けましたが、帰化担当の国籍を扱う部署の職員でこれはあまりにもひどいなと思いました。

 

そもそも

帰化申請は司法書士業務です。

 

司法書士法

(業務)

第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

一 登記又は供託に関する手続について代理すること。

二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。

 

帰化申請の書類の作成は、法務局又は地方法務局に提出し、提供する書類を作成すること

に当たり、司法書士業務です。

ご参照:司法書士会連合会ページ 

司法書士の業務

 

 

それに対して、

行政書士法では、

(業務)

第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

 

 

要するに、行政書士は、他の士業の業務として定められている業務以外の業務しかできないということです。

 

司法書士法

第七十三条 司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く。)は、第三条第一項第一号から第五号までに規定する業務を行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

第三条第一項第二号に帰化申請業務が入っていると考えれば、行政書士が帰化申請の依頼や相談を受けることは、非司行為(司法書士違反の行為)とも考えらます。

 

昔から司法書士はメインで登記をしている関係で、登記業務を弁護士以外の他の士業が行うと非司行為という考えは浸透していますが、司法書士の中で帰化に力を入れている弊所のような事務所は、増えてきたとはいえ、まだまだ少数派で、司法書士業務でありながら、する司法書士が少ないという現状により、帰化申請は、ほとんどを行政書士が受けているという図が出来上がってしまっています。

これは一般の方から見れば行政書士に依頼するのは仕方ないことですし、行政書士から見ても、他の士業がしていない分野を狙い撃ちしなければ、なかなか厳しい業務範囲となっているので、帰化申請を受けるのは、仕方ないかとは考えています。

 

ただ、最初の話に戻りますが、帰化申請の直接手続きに関与する法務局の職員がそういった勘違いをしているという、不勉強さに開いた口がふさがりません。

まあ、地方の法務局は、帰化申請も、月あって数件、経験も少なく、様々なケースに対応しているかといえば、大阪や兵庫など、帰化申請の多い法務局管轄とは比べ物にはならないので、職員の資質にも差があるのは仕方がないのかもしれませんが・・・。

 

 

 

 

特別養子縁組の赤ちゃんの帰化申請

先日、少し珍しい帰化申請をお受けしました。

外国から特別養子として赤ちゃんを迎え入れられたご夫婦から、赤ちゃんの日本国籍取得に関するご依頼でした。

特別養子自体も珍しいうえに、その子の帰化申請ということで、事前に法務局に何度も相談させていただきました。

管轄法務局でも、初めての経験ということで、本当に貴重な経験をさせていただきました。

特別養子というのは、実父母との関係が切れるので、通常必要である、帰化申請人(今回は赤ちゃん)の本国書類などの請求ができないことのほうが多いと思われます。

取得できる限りの書類を集め、申請するしかありませんが、色々とノウハウも必要です。

 

帰化後の特別養子の戸籍の記載には、日本人と同様に民法817条の2の記載(特別養子縁組)と、従前の氏名、国籍などの記載はされるということです。

 

また、国籍法第8条二号の住所要件は、短期滞在ではダメで、日本人等の配偶者等の在留資格を有してから1年を経過する必要があるということですので、少なくとも1歳(+α)になってからの申請が必要となります。

 

非常にたくさんの方の帰化申請をお受けさせていただいてきても、いまだに初めての経験は毎日ようにあります。

これが帰化申請のお手伝いをするモチベーションが上がり続ける理由の一つですね。

 

 

アメリカ国籍、カナダ国籍と在日韓国人との間のハーフの子の帰化申請

少しレアなケースになりますが、たまにあります。

在日の韓国籍の方と、アメリカ国籍またはカナダ国籍の方との間のお子様を含めて在日韓国籍の親と子が一緒に帰化していというご依頼。

 

日本では、二重国籍を認めていませんが、アメリカやカナダは二重国籍(多重国籍)
を否定していません。

 

ただし、日本では二重国籍を認めていないため、日本人に帰化するためには、帰化後にアメリカ国籍、カナダ国籍を離脱する必要が基本的にはあります。

 

ですが、親御さんの要望としては、できればアメリカ国籍やカナダ国籍もそのまま持っていた状態で、将来的には子どもに選ばせたいと考えている方が多いです。

 

こういった場合には、ご自身での判断は非常に難しいですので、帰化の専門家に相談するのが一番スムーズです。とはいえ、帰化をしていればどこでも対応できるというものでもありません。

特に件数が少ない珍しいケースに当たりますので、弊所のように経験の豊富な事務所にご相談いただくのがよろしいと思います。

 

お気軽にご相談いただけましたら幸いです。