帰化後に離婚した場合の氏、姓はどうなるのか?
帰化申請をするときに、もし離婚したら氏(姓)はどうなるのですか?
帰化のご相談を受けるときに非常に多いご質問です。
近い将来に実際に離婚を考えている方から、現実的に離婚を考えているわけではないけれども、万が一のときどうなるのかをはっきりさせておかないと、安心して帰化に踏み切れないという方まで様々な方のご相談をお受けします。
そんなときは、
「大丈夫ですよ。色々選択肢があります。ご安心ください。」
とお伝えしております。
帰化するときには、夫婦どちらか一方の氏になる。
夫婦そろって帰化をするとき、あるいは、日本人配偶者と婚姻している一方が帰化をする場合には、帰化申請の際には、夫婦どちらか一方の氏となります。
たとえば、帰化される方が女性で、夫が日本人で「田中」だったとしたら、一般的には、帰化される女性の方は、夫の「田中」という氏を帰化後の氏として定める場合が多いと思います。
(ちなみに、このときに、全く違う氏 たとえば「佐藤」を帰化後の氏名として妻の氏を称するということにすれば、日本人夫の氏も佐藤にすることもできますが、あまりないケースですし、できるということ自体を知らない方がほとんどなにで実際には稀でしょう。)
話は戻りまして、一般的には、帰化する妻は日本人の夫の場合はその氏を、あるいは、夫も在日韓国人の方などで、夫の通称を今までも妻も使用してきた場合は、そのままその氏を帰化後の氏とすることがほとんどです。
では、そんな夫婦が離婚したら、氏を合わせたほう(筆頭者とならないほう)の名前はどうなってしまうんでしょう?という点が帰化申請を進める前提に知りたいということでよく質問をお受けします。
離婚するときには、復氏(元の氏を称する)する。
日本人同士の場合、通常であれば離婚の際には、離婚届を提出するだけあれば婚姻前の氏に戻ります。(※因みに、離婚の日から3か月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって婚姻中の氏を継続して称することができます。=「離婚の際に称していた氏を称する届」)
これを復氏と言いますが、もし復氏するとすると、婚姻中に帰化したあと、離婚した人の氏はどうなるか?という疑問が生じます。
なぜなら、日本の戸籍上、婚姻前の氏が存在しないためです。
ご参照:
民法第767条
1.婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
2.前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
結論:婚姻前の通称の氏にすることもできるし、全く新しい氏(姓)を使うこともできる。もちろん婚姻中の氏を使うことも可能。
結論から言いますと、新しい氏(姓)を決めてその氏にすることが可能です。復氏すべき氏がありませんので、離婚後の氏は自由に定めることとができます。
「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出して、婚姻中の氏(姓)をそのまま使い続けるか、新たに氏を決めるかを選択できるということです。
実際には、婚姻前の通称をそのまま新しい氏として新しい戸籍を作るということが多いと思われます。
帰化申請をするにあたり、将来のご自身のお名前がどうなるかということは非常に大きな関心事でしょう。
その方により、帰化の際の氏名の設定をどうされるかというところはそれぞれ異なると思います。
上記情報ご参考になりましたら幸いです。
帰化申請(大阪 兵庫)|悠里司法書士・行政書士事務所(帰化申請.net) 代表 司法書士・行政書士まえかわいくこ